
2026年6月21日、一年でもっとも昼が長い夏至の日に、二見興玉神社(三重県伊勢市二見町)の夏至祭に参加してまいりました。海に立つ夫婦岩(めおといわ)の間から昇る朝日を拝み、その前の海で禊(みそぎ)をして心身を清める、伊勢ならではの神事です。常磐会の学生も加わり、夜明けの海辺で夏至の朝を迎えました。
二見興玉神社は、主祭神・興玉大神(おきたまのおおかみ/別名 猿田彦大神)をお祀りする、古くからみそぎと祓いの地として知られる社です。沖合の海中には、御祭神ゆかりの霊石「興玉神石(おきたましんせき)」が鎮まると伝えられ、その神石と朝日を拝する鳥居の役割を果たすのが、大小ふたつの岩を大注連縄(おおしめなわ)で結んだ夫婦岩です。
夏至の頃、この夫婦岩のちょうど間から朝日が昇ります。晴れた日には、はるか彼方に富士山の稜線が重なって見えることもあるといいます。一年でもっとも日の長いこの日に、海から生まれる光を拝む――暦と自然と祈りが一本の線で結ばれる、伊勢の夏至の迎え方です。

今年の夏至祭は、あいにく前夜から雨が降り続いていました。ところが、夫婦岩前の海でみそぎの神事が始まる頃には雨が止み、境内には朝もやが静かに立ち込めます。やがて国歌斉唱のなか、霧がすっと引いて、鈍色(にびいろ)の空の隙間から青空がのぞく――夏至の朝にふさわしい、劇的な天候の移ろいでした。
海は波もなく、穏やかでした。白い衣をまとった参加者が一斉に肩まで海水に浸かると、その動きに合わせて海面にゆっくりと波が立ちます。心身の汚れをはらい、夏至の光を迎える――言葉にすると簡単ですが、冷たい海に身を沈めて初めてわかる祈りの手ざわりが、たしかにそこにありました。
常磐会からも、学生が禊に加わりました。昨年に続いての参加となったメンバーの髙木俊輔は、当日の取材にこう答えています。
「昨年とは水位も水温も違ったが、海に入ると心身ともに清々しい気持ちになれた。昨年は澄み切った空だったが、今年は一転して霧がかり、これはこれでとても幻想的だった。その双方の美しさを目の当たりにし、自然への感謝が湧いた。このみそぎで今後半年のパワーをもらったので、大学院進学に向けて研究を頑張りたい」
昨年は晴れ、今年は霧――同じ夏至の海でも、二年続けて立てば移ろいが見えてきます。変わりゆく自然に手を合わせながら、変わらず受け継がれてきた祈りに加わる。若い世代がそのリズムのなかに身を置けたことこそ、この日いちばんの収穫でした。
毎月の朔日詣りが月の節目を刻むリズムだとすれば、夏至祭は一年の節目に立ち会う機会でした。伊勢には、季節のうつろいに合わせて自然へ手を合わせる暮らしの文化が、いまも息づいています。その現場に、若い世代とともに身を置けたことを、うれしく思います。
常磐会は、伊勢を拠点に、日本の伝統文化の継承と若い世代の育成を目指す会です。書物で読む知識ではなく、夜明けの海辺に立ち、光を待つ時間の手ざわりごと受け取る――そうした体験の場を、これからも学生の皆さんと一緒に重ねてまいります。次の季節の行事にも、ぜひご一緒ください。
※当日の様子とコメントは、伊勢志摩経済新聞の記事を参照しました。