
伊勢市の二見町、穏やかな二見浦(ふたみがうら)の海辺に、大小二つの岩を大注連縄(おおしめなわ)で結んだ「夫婦岩(めおといわ)」が立っています。伊勢を象徴する風景のひとつであり、その近くに鎮座するのが二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)です。
夫婦岩は、それ自体がご神体というより、沖合の海中に沈む「興玉神石(おきたましんせき)」と、その彼方から昇る日の大神(朝日)を遥拝するための鳥居の役目を果たすとされています。二つの岩を結ぶ注連縄は、神域と俗世とを隔てる結界の意味を持ちます。
二見浦は古くから「禊浜(みそぎはま)」と呼ばれ、伊勢神宮へお参りする前に、この浜で海水を浴びて心身を清める「浜参宮(はまさんぐう)」の習わしがありました。現在も、二見興玉神社で祓い清めを受けてから神宮へ向かう参拝者が少なくありません。式年遷宮の行事に参加する人々にも、この清めが受け継がれています。
夏至の頃には、夫婦岩のちょうど間から朝日が昇り、条件がよければ遠く富士山の方角に重なる神々しい光景が見られます。この時期には夏至祭も営まれます。伊勢参りの前後に、ぜひ二見浦まで足をのばし、海と朝日に心を清めるひとときを過ごしてみてください。