
伊勢には、毎月1日の早朝に神宮へお参りする「朔日詣り(ついたちまいり)」という習わしがあります。「朔日(さくじつ・ついたち)」とは月の初めの日のこと。無事に過ごせた先月への感謝と、新しい月の無事を祈って、人々は夜明け前から参道に列をなします。
まだ暗いうちから参拝するのは、清浄な朝の空気の中で大御神にご挨拶するため。五十鈴川のせせらぎを聴きながら参道を進む時間は、日中の賑わいとはまったく異なる、凛とした静けさに満ちています。一日の、そして一月の始まりを清々しい気持ちで迎えられる――それが朔日詣りの魅力です。
朔日詣りの楽しみのひとつが、おかげ横丁の赤福が毎月1日だけ販売する「朔日餅(ついたちもち)」です。正月で多忙な1月を除く毎月、その月にちなんだ餅菓子が登場します。たとえば3月は「よもぎ餅」、6月は「麦手餅」、9月は萩の花を表した「萩の餅」、12月は雪をいただいた山を思わせる「雪餅」など、季節の移ろいを餅で味わうことができます。早朝から買い求める人で行列ができる、伊勢ならではの風物詩です。
常磐会でも、この朔日詣りを活動の中心のひとつとして大切にしています。早朝の参拝と、1日限りの朔日餅、そして参拝後の語らい。月に一度、暮らしを整える節目として、多くの方に体験していただきたい伊勢の習わしです。