
伊勢を訪れたら、ぜひ味わいたいのが土地に根ざした郷土の味です。参拝の合間に、伊勢ならではの食文化に触れてみましょう。ここでは代表的な三つをご紹介します。
伊勢うどんは、ふつうのうどんの倍ほどもある太い麺が特徴です。長い時間をかけて柔らかく茹で上げ、たまり醤油をベースにした濃い色のタレを少量だけ絡めていただきます。コシを楽しむうどんとは対照的な、もちもちと柔らかな食感。参拝に訪れた人々にすぐ出せるよう、また長旅の体にやさしいようにと工夫された味だといわれています。
てこね寿司は、伊勢志摩に伝わる郷土料理です。かつおなどの切り身を醤油だれに漬け込み、酢飯と合わせていただきます。漁師が船の上で、獲れた魚を手早くさばいて飯と「手こね」して食べたのが始まりと伝えられる、漁師めし由来の一品です。
伊勢の名物といえば、やはり赤福餅。柔らかな餅を、なめらかなこしあんでくるんだ餅菓子です。あんにつけられた三筋の形は神域を流れる五十鈴川の清流を、白い餅は川底の小石を表しているといわれます。創業は宝永4年(1707年)。三百年以上、伊勢参りの人々に愛され続けてきた味です。
土地の味は、その土地の歴史と暮らしを映す鏡でもあります。伊勢の祈りに触れたあとは、伊勢の味もぜひゆっくり味わってみてください。